概要
nghttp2はMSVCでもライブラリ単体はビルド可能とgithubのリポジトリのREADMEにも書かれている通り、 cmakeで特に依存ライブラリは必要ともせず、容易にビルドできる。
しかし、いざ、nghttp2ライブラリを使おうとしたら、数日ハマった。
一日がかりで、nghttp2をMSVC環境でライブラリのみをビルドして、examplesのlibevent-server.cを動かそうとしたら、libevent側でbufferevent_openssl.cをWindowsは除いてビルドしているので、結局リンクエラー
— kjunichi (@kjunichi) 2017年1月7日
nodeはWindowsをサポートしており、http2をサポートする際はnghttp2を使う予定とのことで、この週末、windowsでnghttp2のサンプル動かそうとしてるが色々ハードル高くて勉強になる#と前向きなツイートしとくか
— kjunichi (@kjunichi) 2017年1月8日
何とかhghttp2のサンプルのlibevent-server.cをwindowsでビルド通したが、writecbが動いたあと、ブラウザに応答が戻らない
— kjunichi (@kjunichi) 2017年1月9日
WindowsのMSVC環境でlibeventのマスターをビルドしてそのサンプルを動かせ、libeventでHTTPサーバーは動かせた。しかし、httpsでのクライアントのコードはあり、これも動かせたが、サーバーのコードがないので、OpenSSLでサーバーができるのか現時点で不明
— kjunichi (@kjunichi) 2017年1月9日
MSVC環境でのnghttp2のサンプルが動かない問題。切り分けの為に、自前でビルドしたlibeventとOpenSSLの組み合わせでhttpsサーバーは動いた。 / “httpsserver.c · GitHub” https://t.co/Fqcm6ds3zO
— kjunichi (@kjunichi) 2017年1月11日
書いた人の背景
自分はWindows初心者だが、cygwin使えばこの手のものは動くのは分かっている。
2016年のMacBook ProがNVIDIAじゃないからCUDA使えないし、mrubyでクロスビルドでWinなバイナリを作った 経験も溜まってきたし、安定の開発者の天国のLinux環境では当たり前すぎるから、 最近Windows環境への定住を本気で考えている。
要約すると金が無いから新しいMacBook Pro買えないだけ。
nghttp2ライブラリを動かす為に必要な物
ホントにスキルがあれば、ライブラリ本体を使うだけでも動かせると思う。
が、一般人は、TLS周りにOpenSSL使ったり、非同期ライブラリ?としてlibeventを使ったりして、 これらを組み合わせてnghttp2ライブラリをつかってHTTP2が喋れるサーバーを組むことになる模様。
- OpenSSL
- libevent
OpenSSL、libeventともにWindowsで動くバージョンが複数あり、少しハマった。
OpenSSLのバージョン
1.1系で作業をはじめて、途中動かなかったから、OpenSSLのバージョンも疑ったが、1.0系でなくとも問題なさそうだった。
libeventのバージョン
これが問題だった。安定版と言われている2.0.x系はWindowsプラットフォーム、少なくともMSVC環境では、openssl周りの面倒を見てくれない。 ここはおとなしくgithubからcloneして最新版(2.1.x系)を使った。
OpenSSLのビルド
chocolateyでActivePerl、nasmを入れてから、公式のドキュメントに従い、インストール
libeventのビルド
git cloenしてcmakeでビルド、上でいれたOpenSSLを自動的に検出してくれたハズ。 VS 2015でビルドしてインストール
nghttp2のビルド
cmakeでビルドできるが、公式の指定だと、32ビットでビルドされてしまったので、 開発者向けプロンプトを開いて以下を実行した。
set PATH=%PATH%; cmake -G "Visual Studio 14 2015 Win64" . cmake --build .
nghttp2をビルド https://t.co/5lowomQDLi pic.twitter.com/QMwgR1AeVi
— kjunichi (@kjunichi) 2017年1月7日
管理者権限で開発者プロンプトを開いて
set PATH=%PATH%; cmake --build . --target install
これで、nghttp2のexample/libevent-server.cをビルドする準備が整った。
libevent-server.cを動かす
各種修正
ソケット周りをWinsock2使う修正
#ifdef HAVE_NETINET_IN_H #include <netinet/in.h> #endif /* HAVE_NETINET_IN_H */ +#if defined(_MSC_VER) +#include <winsock2.h> +#include <ws2tcpip.h> +#else #include <netinet/tcp.h> +#endif
int main(int argc, char **argv) { + #if defined(_MSC_VER) + WSADATA wsa_data; + WSAStartup(MAKEWORD(2,2), &wsa_data); + #else struct sigaction act; + #endif if (argc < 4) {
SSIZE_T問題の対応とエラー出力周辺の対応とU対応とO_RDONLY対応
#include <event2/listener.h> +#if defined(_MSC_VER) +void +_verrx(int eval, const char *fmt, va_list ap) +{ + (void)fprintf(stderr, "%s: ", "server"); + if (fmt != NULL) + (void)vfprintf(stderr, fmt, ap); + (void)fprintf(stderr, "\n"); + exit(eval); +} + +void +errx(int eval, const char *fmt, ...) +{ + va_list ap; + + va_start(ap, fmt); + _verrx(eval, fmt, ap); + va_end(ap); +} + +void +warnx(const char *fmt, ...) +{ + va_list ap; + + va_start(ap, fmt); + _verrx(0, fmt, ap); + va_end(ap); +} + +#include <BaseTsd.h> +typedef SSIZE_T ssize_t; +typedef SIZE_T size_t; +#include <io.h> +#include <fcntl.h> +#define O_RDONLY _O_RDONLY +#define _U_ +#endif + #include <nghttp2/nghttp2.h>
pipe対応
Windowsにもpipeに似た_pipeがあり、とりあえずこれで今回は回避できた模様。
nghttp2_nv hdrs[] = {MAKE_NV(":status", "404")}; - rv = pipe(pipefd); + rv = _pipe(pipefd, strlen(ERROR_HTML), _O_BINARY); if (rv != 0) {
libevent 2.1.x対応
これが今回のキモ。 openssl統合されたlibeventをWindowsで使うには2.0系ではなく、2.1系のlibeventを使うのだが、 nghttp2のサンプルのlibevent-server.cはlibeventの2.0向けに書かれており、 以下の修正を行わないとサーバーが反応しない (たったの1行追加だけど)
bufferevent_setcb(session_data->bev, readcb, writecb, eventcb, session_data);
+ bufferevent_enable(session_data->bev, EV_READ);
}
ビルド
INCLUDE,LIBの設定
gcc,clangのような-I,-Lのオプションを知らないので、cl.exeでは以下のように環境変数で指定した。
set INCLUDE=%INCLUDE%;C:\Program Files\OpenSSL\include;C:\Program Files\libevent\include;C:\Program Files\nghttp2\includes set LIB=%LIB%;C:\Program Files\nghttp2\lib;C:\Program Files\libevent\lib;C:\Program Files\OpenSSL\lib
ビルド
cl libevent-server.c nghttp2.lib event.lib msvcrt.lib ws2_32.lib libssl.lib libcrypto.lib Advapi32.lib /link /nodefaultlib:libcmt /nodefaultlib:msvcrtd
実行
set PATH=%PATH%;C:\Program Files\nghttp2\lib libevent-server 8080 key.pem cert.pem
ようやくWindowsでnghttp2 ライブラリ使ってHTTP2でサーバー動かせた! https://t.co/hRFaVx8DJZ pic.twitter.com/D4mnR04ocx
— kjunichi (@kjunichi) 2017年1月12日
IPv6が有効な環境だと、IPv6でのアクセスのみ受け付けるようだった。getaddrinfoの第一引数のNULLを"0.0.0.0"に変えたら、 IPv4で通信ができた。
まとめ
OpenCVのビルドやh2oのビルドで使うことになったcmakeがlibeventやnghttp2でも使われていることを知った。 いまだに64ビットがデフォルトではなく、明示的にビルド時に指定する場面があることが驚きだった。 libeventやOpenSSLのバージョンに少し詳しくなれた。
もしかするとzlibを入れておく必要があるかも。
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