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Windows 10でMSVCでnghttp2のサンプルを動かす

おはようございます。2年連続で正月は多摩川の河川敷で子供たちと凧揚げをしたkjunichiです。

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概要

nghttp2はMSVCでもライブラリ単体はビルド可能とgithubリポジトリのREADMEにも書かれている通り、 cmakeで特に依存ライブラリは必要ともせず、容易にビルドできる。

しかし、いざ、nghttp2ライブラリを使おうとしたら、数日ハマった。

書いた人の背景

自分はWindows初心者だが、cygwin使えばこの手のものは動くのは分かっている。

2016年のMacBook ProがNVIDIAじゃないからCUDA使えないし、mrubyでクロスビルドでWinなバイナリを作った 経験も溜まってきたし、安定の開発者の天国のLinux環境では当たり前すぎるから、 最近Windows環境への定住を本気で考えている。

要約すると金が無いから新しいMacBook Pro買えないだけ。

nghttp2ライブラリを動かす為に必要な物

ホントにスキルがあれば、ライブラリ本体を使うだけでも動かせると思う。

が、一般人は、TLS周りにOpenSSL使ったり、非同期ライブラリ?としてlibeventを使ったりして、 これらを組み合わせてnghttp2ライブラリをつかってHTTP2が喋れるサーバーを組むことになる模様。

  • OpenSSL
  • libevent

OpenSSL、libeventともにWindowsで動くバージョンが複数あり、少しハマった。

OpenSSLのバージョン

1.1系で作業をはじめて、途中動かなかったから、OpenSSLのバージョンも疑ったが、1.0系でなくとも問題なさそうだった。

libeventのバージョン

これが問題だった。安定版と言われている2.0.x系はWindowsプラットフォーム、少なくともMSVC環境では、openssl周りの面倒を見てくれない。 ここはおとなしくgithubからcloneして最新版(2.1.x系)を使った。

OpenSSLのビルド

chocolateyActivePerlnasmを入れてから、公式のドキュメントに従い、インストール

libeventのビルド

git cloenしてcmakeでビルド、上でいれたOpenSSLを自動的に検出してくれたハズ。 VS 2015でビルドしてインストール

nghttp2のビルド

cmakeでビルドできるが、公式の指定だと、32ビットでビルドされてしまったので、 開発者向けプロンプトを開いて以下を実行した。

set PATH=%PATH%;
cmake -G "Visual Studio 14 2015 Win64" .
cmake --build .

管理者権限で開発者プロンプトを開いて

set PATH=%PATH%;
cmake --build . --target install

これで、nghttp2のexample/libevent-server.cをビルドする準備が整った。

libevent-server.cを動かす

各種修正

ソケット周りをWinsock2使う修正

 #ifdef HAVE_NETINET_IN_H
 #include <netinet/in.h>
 #endif /* HAVE_NETINET_IN_H */
+#if defined(_MSC_VER)
+#include <winsock2.h>
+#include <ws2tcpip.h>
+#else
 #include <netinet/tcp.h>
+#endif
 int main(int argc, char **argv) {
+  #if defined(_MSC_VER)
+  WSADATA wsa_data;
+   WSAStartup(MAKEWORD(2,2), &wsa_data);
+  #else
   struct sigaction act;
+  #endif
 
   if (argc < 4) {

SSIZE_T問題の対応とエラー出力周辺の対応とU対応とO_RDONLY対応

 #include <event2/listener.h>
 
+#if defined(_MSC_VER)
+void
+_verrx(int eval, const char *fmt, va_list ap)
+{
+   (void)fprintf(stderr, "%s: ", "server");
+   if (fmt != NULL)
+       (void)vfprintf(stderr, fmt, ap);
+   (void)fprintf(stderr, "\n");
+   exit(eval);
+}
+
+void
+errx(int eval, const char *fmt, ...)
+{
+   va_list ap;
+
+   va_start(ap, fmt);
+   _verrx(eval, fmt, ap);
+   va_end(ap);
+}
+
+void
+warnx(const char *fmt, ...)
+{
+   va_list ap;
+
+   va_start(ap, fmt);
+   _verrx(0, fmt, ap);
+   va_end(ap);
+}
+
+#include <BaseTsd.h>
+typedef SSIZE_T ssize_t;
+typedef SIZE_T size_t;
+#include <io.h>
+#include <fcntl.h>
+#define O_RDONLY _O_RDONLY 
+#define _U_
+#endif
+
 #include <nghttp2/nghttp2.h>

pipe対応

Windowsにもpipeに似た_pipeがあり、とりあえずこれで今回は回避できた模様。

   nghttp2_nv hdrs[] = {MAKE_NV(":status", "404")};
 
-  rv = pipe(pipefd);
+  rv = _pipe(pipefd, strlen(ERROR_HTML), _O_BINARY);
   if (rv != 0) {

libevent 2.1.x対応

これが今回のキモ。 openssl統合されたlibeventをWindowsで使うには2.0系ではなく、2.1系のlibeventを使うのだが、 nghttp2のサンプルのlibevent-server.cはlibeventの2.0向けに書かれており、 以下の修正を行わないとサーバーが反応しない (たったの1行追加だけど)

   bufferevent_setcb(session_data->bev, readcb, writecb, eventcb, session_data);
+  bufferevent_enable(session_data->bev, EV_READ);
 }

ビルド

INCLUDE,LIBの設定

gcc,clangのような-I,-Lのオプションを知らないので、cl.exeでは以下のように環境変数で指定した。

set INCLUDE=%INCLUDE%;C:\Program Files\OpenSSL\include;C:\Program Files\libevent\include;C:\Program Files\nghttp2\includes
set LIB=%LIB%;C:\Program Files\nghttp2\lib;C:\Program Files\libevent\lib;C:\Program Files\OpenSSL\lib

ビルド

cl libevent-server.c nghttp2.lib event.lib msvcrt.lib ws2_32.lib libssl.lib libcrypto.lib Advapi32.lib /link /nodefaultlib:libcmt /nodefaultlib:msvcrtd

実行

set PATH=%PATH%;C:\Program Files\nghttp2\lib
libevent-server 8080 key.pem cert.pem

IPv6が有効な環境だと、IPv6でのアクセスのみ受け付けるようだった。getaddrinfoの第一引数のNULLを"0.0.0.0"に変えたら、 IPv4で通信ができた。

まとめ

OpenCVのビルドやh2oのビルドで使うことになったcmakeがlibeventやnghttp2でも使われていることを知った。 いまだに64ビットがデフォルトではなく、明示的にビルド時に指定する場面があることが驚きだった。 libeventやOpenSSLのバージョンに少し詳しくなれた。

もしかするとzlibを入れておく必要があるかも。

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